D2C事業の利点と始める上での注意点とは【これからの方必見】
D2Cは新しいビジネスモデルとして登場し、現在では自社ブランドを持つ多くの企業がその事業を始めています。しかし、D2C事業とは一体どのようなものなのでしょうか。
そこで今回は、D2C事業の基本情報やその利点、始める上での注意点などを解説します。これからECサイトで自社ブランドを販売していこうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
そもそもD2Cとは
まずD2C(Direct to Consumerの略)とは、消費者に対してダイレクトに商品を販売する仕組みのことを指します。仲介業者や小売店などを挟まず、自社チャネルで直接販売するという、このビジネスモデルは新型コロナウイルスの影響による巣篭もり需要もあって、多くの企業で取り組まれています。
B2Cは取引相手よりも取引方法が重要
B2Cにおいては、「誰と取引するのか?」ということよりも「どのように取引するのか?」ということが重要視されます。その理由は、B2Cが取引相手を指す用語ではなく、ビジネスモデルとしての流通や販売形態を指す用語であるためです。
事実、D2Cの販売の流れには商品の企画はもちろんのこと、ECサイトの運営や出荷作業、顧客管理なども含まれます。一見すると大変に思えるかもしれませんが、その分のメリットもあります。具体的なことは別の項目で紹介しているので、そちらをチェックしてみてください。
BtoBやBtoCとの違い
D2Cと似たような言葉として、BtoBやBtoCなどが挙げられます。それぞれ違いがあり、BtoBは企業と企業と取引関係のことで、B2Cのように消費者を対象としていません。一方のBtoCはB2Cのように消費者を対象にしていますが、仲介業者が含まれていることから、対象は同じでも販売方法が異なります。
また、BtoBとBtoCとD2Cの違いもあります。それは、上記で紹介した言葉の意味の違いです。D2Cは流通や販売形態を指す用語ですが、BtoBやBtoCは取引相手を指す用語です。このように違いが複数あるため、間違えないようにしましょう。
D2C事業の利点
D2C事業の利点としては、主に以下の4つが挙げられます。
- 顧客に対してストレートに伝えられる
- 顧客との関係構築につなげられる
- 自由度が高い
- データ収集が可能
それぞれどのようなものなのか、1つずつ見ていきましょう。
顧客に対してストレートに伝えられる
1つ目は、顧客に対して商品の詳細やブランドのコンセプトなどをストレートに伝えられることです。D2Cの魅力は、なんといっても直接消費者に商品を販売できること。商品を製造した会社側が直接販売できるからこそ、そのときの思いやブランドのコンセプトなどをハッキリと伝えられます。
近年、消費者は商品の機能性だけを重視するのではなく、商品のストーリーやブランドのコンセプトなども重視して購入するケースも増えています。その上でD2Cというビジネスモデルは現代にぴったりなものであり、情緒的な価値観を消費者に対して伝えることが可能。その結果として、商品のファンになる可能性も高まります。
顧客との関係構築につなげられる
2つ目は、顧客との関係構築につなげられることです。D2Cはただ顧客へダイレクトに商品を販売する一方通行のものではなく、顧客からの声や要望を拾うこともできるビジネスモデルです。
そのため、D2Cは顧客との関係構築につなげることが可能。うまく活用すれば、顧客の満足度を高めたり、顧客のニーズに合わせた新商品を開発できたりなどの恩恵を受けられます。
自由度が高い
3つ目は自由度が高いことです。小売店やECモールを活用する販売形態の場合、どうしてもマーケティングの制限が生じます。そのため、思うような商品販売ができないかもしれません。
しかし、D2Cの場合は自分たちで商品を売るため、マーケティングの自由度が高まります。独自のマーケティングやキャンペーンなども展開できるようになり、理想的な販売方法で商品を消費者に届けられます。
データ収集が可能
4つ目は顧客に関するデータの収集ができることです。D2Cは販売業者を介する場合よりも、顧客のデータを多く収集および蓄積できます。自社のECサイトの滞在時間や訪問した顧客が興味を持った商品などが知れるため、ECサイトの運用方法や改善策などに活用できます。
D2C事業を始める上での注意点
D2Cにはマーケティングの自由度が高かったりデータ収集が可能だったりなど、さまざまな魅力があります。しかし、そのような魅力だけで安易に始めるのはおすすめできません。その理由として、D2C事業を始める上でいくつかの注意点があるためです。
自分たちで集客しなければならない
D2C事業は商品企画から販売、顧客の管理にいたるまですべて製造会社が管理します。そのことから、集客に関しても自分たちでする必要があります。
仮に良い商品があったとしても、集客できていなければ売り上げにつながりません。そのためにも、D2C事業を始める上では、集客商品を作る必要があります。集客商品があれば、そこからお客さんをECサイトへ集められます。
ある程度の初期費用が求められる
D2C事業は無料で始められるものではなく、ある程度の初期費用が求められます。主なものとしては、ECサイトのサーバー代やドメイン代などです。また、配送にかかる手数料や梱包費も必要です。
ただ、実店舗を持つよりもコストを抑えられることに変わりはありません。実店舗の場合、店の改装費や人件費などがかかります。ECサイトのサーバー代やドメイン代よりも高額であるからこそ、成功したD2Cブランドの中にはECサイトである程度成果を出した後に実店舗を展開するというケースが複数あります。
顧客への対応次第で信頼関係が揺らぐ
D2C事業は顧客への対応が非常に重要です。カスタマーセンターを設けたとしても、真摯に対応しなければ評判が悪くなってしまいます。だからこそ、D2C事業を始めるのであれば顧客のことを第一に考えて取り組む必要があります。
このことを考えると、SNSでも対応も非常に重要です。近年ではSNSを通じて商品に関する要望や質問などを製造会社に問い合わせるケースが数多くあります。SNSの場合はやり取りが基本的に誰もが見られる状態となっているため、なおさら丁寧かつ真摯な対応が求められます。
すぐに効果が得られるわけではない
D2C事業は始めればすぐに効果が得られるわけではなく、ある程度の時間が求められます。事実、上記で述べたように集客しなければ売り上げにつながらず、開設してすぐに売り上げを得られるのは、非常にレアなケースでしょう。
ただ、長期的かつ戦略的に取り組むことで、大きな成果をもたらしてくれる可能性もあります。実際に株式会社newnという会社は、小柄な女性向けのアパレルブランド「COHINA」でD2Cを活用し、創業から3年で月商1億円の規模にまで発展しました。
D2C事業を成功させる上でのポイント
最後に、D2C事業を成功させる上でのポイントについて6個紹介します。効果的に事業を展開するためにも、ぜひこの項目もチェックしておきましょう。
No.1戦略を明確にする
No.1戦略というのは、「〇〇といえば自社の商品!」といったように。あるキーワードであなたの会社の商品が想定されるようにするための、戦略です。どのキーワードで消費者に見つけてもらうのかハッキリしていないと、D2C事業が失敗する恐れがある上に、なぜ失敗したのか原因さえわからなくなってしまいます。
No.1戦略における参考事例として、株式会社I-neのブランド「BOTANIST」が挙げられます。株式会社I-neはD2Cを活用してボタニカルシャンプーを販売し、現在では
「ボタニカルシャンプー=BOTANIST」という認識に発展させられました。
具体的な市場範囲をチェックしておく
具体的な市場範囲のチェックもD2C事業の重要なポイントです。これから展開しようと考えている商品のジャンルが、EC市場でどのくらいの規模なのか把握できていなければ、思うような効果が得られない可能性があります。
D2C事業で成功するためには、勘よりも今わかるデータが重要です。市場規模や市場の範囲を細かくチェックしておくことで、具体的な戦略や方向性、必要な予算なども決めやすくなります。
むやみに手を広げない
上記で述べたように、D2C事業は適切な範囲を見定めた上で展開するのがおすすめです。そうすることで無駄なコストが発生することを防げ、初期費用も抑えられます。そのことから、むやみに手を広げず、コアなマーケティングから始めるようにしましょう。
顧客への対応がきちんとできる体制を作る
この記事で何度も述べているように、D2C事業は顧客への対応が非常に重要です。だからこそ、顧客に対して真摯に対応できるような体制をしっかりと準備する必要があります。集客ばかりできても、顧客の満足度が低いままで顧客が次第に減っていくかもしれません。
ここでの参考事例として、ジェンヌ・インターナショナル株式会社が挙げられます。この会社では妊娠や授乳中の女性向けアパレルブランド「CHOCOA」を展開しており、SNSやカスタマーサポートを通じて熱心に顧客への対応に努めてきました。その結果、わずか2年で10億円もの売り上げとなりました。
他社の成功事例を参考にする
初めてD2C事業を展開する場合、どうやってうまく始めれば良いのかわからないかもしれません。その際におすすめしたいのが、他社の成功事例です。この記事でも複数の事例を紹介しましたが、他社の成功事例を参考にすることで、D2C事業を始める上でのヒントを見つけられます。
事業企画書も忘れずに
D2C事業を始める際には、事業計画書も必要です。事業計画書とは、事業内容や企業の戦略などを説明するための書類であり、D2C事業を始める上で欠かせないものです。
事業計画書に必要な情報としては以下の通りであるため、参考にして作ってみると良いでしょう。なお、作成する際は可能な限りコストや利益に関することを数値化することで、具体的な計画書となります。
- 創業メンバーのプロフィール
- 事業のビジョン・理念
- 事業概要
- 販売戦略
- 自社の強み・アピールポイント
- 市場の状況・他社との競合状況
- サプライチェーン構想
- 損益計算書(PL)
D2C事業はさらに盛り上がるビジネスモデル
今回は、D2C事業の基本情報やその利点、始める上での注意点などを解説しました。D2C事業は今後も盛り上がるビジネスモデルですが、始める上での注意点もあります。その点も考慮した上で、実際に始めるかどうか考えましょう。
なお、D2C事業を始めることに不安があるならば、「クラチョク」を利用してみてはいかがでしょうか。D2Cにおけるさまざまなサポートを実施しており、あなたのニーズに合わせた戦略も提案してくれます。気になる方は、ぜひ一度問い合わせてみましょう。