D2C事業を多くの企業が始めている5つの理由
D2C事業はさまざまな企業が始めており、大きな効果を得ているところもあります。しかし、なかにはなぜ多くの企業がD2C事業を始めているのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、D2C事業を多くの企業が始めている5つの理由をメインに紹介します。最後まで読むことで、D2C事業を今始めるべき理由がわかり、すぐにでも始めたくなるかもしれません。
もくじ
そもそもD2Cとは
D2Cとは「Direct to Consumer」の略称であり、製造者が消費者と直接取り引きするビジネスモデルのことを指します。具体的には、製造者がECサイトといった自社チャネルを使って消費者に商品をダイレクトに届けるようなケースがD2Cであり、巣ごもり消費が伸びた影響でD2Cにチャレンジする企業も増えています。
BtoBやBtoCとは違うもの
D2Cと似たようなものとして、BtoBやBtoCがあります。どちらも有名なものですが、D2Cとは違うものです。
BtoBは企業間取引のことを指し、B2Cのように消費者が対象とされていません。一方のBtoCは消費者を対象としているビジネスモデルですが、こちらの場合は小売店や仲介業者などが含まれています。D2Cの場合はそのような製造者と顧客の中間に入るものがないため、BtoCとは違うビジネスモデルとなります。
D2Cが注目を集める理由
D2Cが注目を集める理由としては、「デジタル化」「消費行動の変化」「人々の価値観の変化」という3つの変化が挙げられます。デジタル化は商品を売る場所が実店舗からオンラインショップに変わり、直接販売がしやすいようになりました。
2つ目の変化は、多くの人々が機能性だけを重視するのではなく、商品のストーリーやブランドのコンセプトなど情緒的な価値で購入するようになったことです。もちろん機能性も商品を選ぶ上で重要なポイントですが、それ以外に商品の情緒的な価値に対してお金を出す人も増えてきたということです。
3つ目の変化は、サブスクリプションサービスやシェアリングサービスの台頭により、ものを購入することよりもものを利用することを重視するようになりました。商品の価値を感じて長期間購入するようになり、少数の商品を売るだけでも商品の質が良ければ継続的な売り上げが得られやすくなったのです。
日本とアメリカのD2Cの違い
D2Cにおいては、日本とアメリカで違いがあります。例えば日本の場合、こだわりの製品であることや伝統などを消費者に伝えることで、大々的にPRしなくても十分に利益を得られる可能性があります。
しかし、アメリカは異なります。アメリカのD2Cは伝統よりも最先端であることが重要視され、新しい分野で多くの共感を生み、多くの人に受け入れてもらってこそD2Cが成立するのです。そのため、アメリカのほうが日本よりもD2Cの規模が大きいです。
ここでの注意点として、規模が大きいから日本のD2Cは劣っていると考えないことです。確かにD2Cの規模はアメリカと比べると小さいですが、日本の場合は真摯な姿勢や丁寧なものづくりなどを伝えることで、多くの人に受け入れてもらえるという文化があります。アメリカのように最先端である必要はなく、方法次第では伝統的な工芸品でもD2Cが活用できる場合もあるでしょう。
D2C事業を多くの企業が始めている理由
上記で述べたように、D2Cは新型コロナウイルスによる巣ごもり需要からチャレンジする企業が増えています。ただ、その他にも多くの企業がD2Cを始めている理由があります。主な理由を5つピックアップしましたので、それぞれ1つずつ見ていきましょう。
理由1.企業側の利益率が高まるため
1つ目の理由は、企業側の利益率が高まるためです。実店舗の場合、問屋といった仲介業者を介して小売店に陳列されるため、その間の中間マージンが商品の販売価格に計上されます。また、ECモールならば利用するための販売手数料を支払わなければなりません。
しかし、D2Cならば仲介業者がない上に自分たちが直接消費者に売るため、販売手数料もかかりません。結果として商品が消費者の手元に渡るまでの中で発生するコストを大幅に削減でき、企業側の利益率が高まります。
理由2.消費者との信頼関係を構築できるため
2つ目の理由は、消費者との信頼関係を構築できるためです。D2Cはダイレクトに消費者へ商品を届けるため、直接消費者とやり取りする機会が増えます。その結果として消費者との信頼関係を構築できます。
特に消費者との距離はSNSだと非常に近いものとなるでしょう。SNSの場合は消費者の声を直接集めやすく、消費者が求めていることも把握しやすくなります。その結果、消費者のニーズに応えられる商品を提供できるようになります。
理由3.経費の削減につながるため
3つ目は経費の削減につながるためです。複数の実店舗やECモールの場合、各店舗とのやり取りや返品対応などの業務で忙しく、それでいて人件費や送料などの経費も発生します。このようなことは業務の煩雑化となり、無駄に忙しくなってしまうかもしれません。
しかし、D2Cの場合は実店舗での販売やECモールでの販売よりも業務量が少なく、経費の削減にもつなげられます。コストを減らせた分、新商品の開発やECサイトの改善などに回すことができ、さらに消費者のことを考えた商売ができます。
理由4.さまざまな方法で販売できるため
4つ目は、さまざまな方法で商品を販売できるためです。実店舗での販売やECモールでの販売は、マーケティングにおいて一定の制限があります。そのため、思うような販売ができないかもしれません。
しかし、D2Cの場合は異なります。D2Cの場合は自由なマーケティングを展開しやすく、自社が考えた方法で商品を販売可能。理想的なマーケティングができるからこそ、さらに消費者との関係を構築しやすくなります。
理由5.顧客のデータを集められるため
5つ目の理由は、顧客のデータを集められるためです。D2Cの場合、仲介業者がいない影響で消費者のデータを集めやすいという利点があります。具体的には、ECサイトを訪問した顧客が興味を持った商品やECサイトの滞在時間などです。
データはD2Cで成功する上で重要なものです。その上、PDCAサイクルに当てはめることも可能であることから、うまく回せれば売り上げを向上させられるでしょう。
D2C事業における主な成功事例
D2C事業は多くの企業がチャレンジしているビジネスモデルであり、その中には成功したケースも多々あります。その中の1つとして挙げられるのが、株式会社土屋鞄製造所です。
そもそも株式会社土屋鞄製造所は1965年に設立した老舗の皮革商品製造メーカーであり、創業当初からずっと鞄に携わってきました。その中でECサイトによる展開を始めるにあたり、内部の体制を改革。外部に依頼せずとも、自分たちでプロジェクトをリードできるようにしました。
ECサイトに関することを自分たちでできるようになったことにより、これまでよりも改善スピードを早くすることに成功。スムーズに消費者への対応ができるようになりました。
また、株式会社土屋鞄製造所の場合はSNS運用も行っています。例えば、2020年7月に公開されたスイカ専用バックは多くの方に注目され、非売品であったにもかかわらず、1年後に個数限定販売されました。
https://tsuchiya-kaban.jp
D2C事業で売上を伸ばすポイント
最後の項目では、D2Cで売り上げを伸ばすためのポイントを紹介します。これから始めようと考えているのであれば、以下のポイントを踏まえて取り組んでみましょう。
顧客を集める商品を用意する
仮にECサイトを立ち上げても、魅力的な商品がなげれば顧客を集められません。そのため、必ず顧客を引き寄せられるような商品を用意しましょう。集客できる商品があれば、顧客を集めやすくなります。
KPIを細かく設定する
細かくKPIを設定することにより、施策の優先順位を決めやすくなります。どれから先に取り組めば良いのか把握しやすくなるため、効率よく作業ができる上にページを改善した際の成果の検証もしやすくなります。
SNSを活用する
顧客との関係性を強化したり顧客の声を拾ったりするためにも、SNSを活用しましょう。この際、一方的に情報を発信するだけでは使うのはもったいないものです。情報発信も大切ですが、顧客と交流するための手段としてSNSを活用することが大切です。
ECモールも活用する
ECモールは販売手数料がかかるといった欠点もありますが、消費者との接点を増やす上では活用できる存在です。ただ、いきなり活用するのではなく、ブランドのベースが完成した上での活用がおすすめです。そうすることで、新規顧客のルートを新たに開拓できます。
D2Cに関連したサービスを利用する
もしD2Cの始め方がよくわからないのであれば、関連サービスを利用してみると良いでしょう。そうすることで、効率よくD2C事業を始められます。
例として「クラチョク」では、オペレーションの効率化や入庫出在管理、海外配送などのサポートを行っています。カスタマー対応といったオプションも豊富にそろえているため、気になる方は一度相談してみると良いでしょう。
D2C事業を始める企業はこれからも増加する
今回はD2C事業を多くの企業が始めている5つの理由をメインにしつつ、成功事例や始める際のポイントなども紹介しました。D2Cにはさまざまな魅力があり、その影響で多くの企業がチャレンジしています。D2C事業をサポートしてくれるサービスもあるため、この機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。